入日くん

本を年間約200冊読む内向的人間のちょっとした発信。夜になる前の入日の時間をお楽しみください。

暑い夏に読みたい小説。涼しさを感じる綺麗な物語

引きこもる。それが夏の過ごし方

夏になると、長い休みもあるせいか、

人々がとんでもなくアクティブになる気がします。

やたらと大人数で海に行ったり、山に行ったり、 フェスに行ったり・・・

じっとしているだけでも暑いのに、すごいなぁと

毎年思っています。

 

しかし新型コロナウイルスの影響もあって、

今年は大勢で集まって盛り上がる夏、という過ごし方はできなさそうですね。

まさかこんな夏が来るとは・・・。

 

今年の夏はお家に引きこもって、

身体ではなく頭の中をフル回転アクティブにして過ごすのが

いいのではないでしょうか。

 

海や山に行かなくったっていいじゃない。

こんがり肌を焼かなくったっていいじゃない。

だって本の中に私の夏の思い出が生まれるのだもの。

 

なんだか詩のようになってしまいましたが、

といった感じで、「おうちに引きこもる」

それが夏の正しい過ごし方だと私は決め付けています。

 

お家で過ごすとはいえ、ある程度の準備は必要ですよね。

引きこもりの準備に欠かせない私selectの本を紹介します。

 

夏といえば怖いお話になりがちですが、

夏にぴったりなのはこわいお話だけではありません。

 

木漏れ日や川の流れのような、涼しさを感じさせてくれる

綺麗な小説をご紹介します。

 

心のきらめきが静かに跳ねる物語

三浦しをん「月魚」

出版社: 角川書店

ISBN: 978-4043736027

発売日: 2004/5/25

amazon 楽天 kindle

 古書店「無窮堂」の当主である真志喜と、その友人で同じ古本業界に身を置く瀬名垣。

幼い頃、瀬名垣のある行動が発端となり、

兄弟のようだった2人の関係は大きく変わってしまいました。

関係が変わってからの2人の心を映し出す物語です。

 

それぞれの感情が、流れるように2人の間を行き来していきます。

真志喜も瀬名垣も言葉には出さないのですが、

過去に囚われ続けながら、お互いの事を思っているのでしょう。

 

本の中で、まるで心が光っているように浮かび上がって見えます。

真志喜と瀬名垣の心の渦に絡めとられながらも、心地良さを感じるのは

お互いを信頼し、古書を愛する気持ちが

とても綺麗に描かれているからだと思います。

 

文章の中にこんな光を埋め込むことができるのか、と

ため息が出るほど美しい小説です。

 

 

数学と人間の美しさが輝く物語

小川洋子博士の愛した数式

出版社: 新潮社

ISBN: 978-4101215235

発売日: 2005/11/26

amazon 楽天 kindle

80分しか記憶がもたない博士と、家政婦、その息子の物語。

数学の美しさと人間の美しさが交わるようなストーリーです。

 

時間が進んで、博士が記憶を無くしても

数学は常に絶対的なものとして存在しています。

 

博士の記憶がなくても、

3人の間では数学を介してのコミュニケーションが可能でした。

数学の定理は、時間がどれだけ進んでも

変わることなく博士の記憶の中に止まることができるからです。

 

変化していく3人の心と、変化しない数学。

数学の存在が、3人の心の動きを際立たせているように感じます。

 

人間関係の裏で存在している、

堂々としていて凛々しい、圧倒的な数学の存在感が

とても美しく輝く物語です。

4人の欠陥が絡まり合う物語

西加奈子「窓の魚」

出版社: 新潮社

ISBN: 978-4101349565

発売日: 2010/12/24

amazon 楽天

一見すると、ダブルデートで温泉旅行に来ている2組のカップルの物語。

 

その4人が抱える闇はとても大きく、

描かれている細かい行動に、見ただけ、読んだだけでは分からないような

深い感情が込められています。

 

それぞれの人物の視点で語られる時、

その意味が明らかになっていくのです。

 

それぞれの方法で苦しみ、

それぞれの方法で救われようとし、

それぞれの方法で墜落しようとする。

 

たった一泊の間に起こる

4人の心情の描写だけで、

全員の心の中に吸い込まれます。

 

欠けているものも、苦しみも、

なぜかとても綺麗に感じてしまいました。

 

みんな、自分の欠陥を、必死で埋めようと苦しんでいるのでしょうか。

 

 

irihikun.hatenablog.com

irihikun.hatenablog.com

irihikun.hatenablog.com

irihikun.hatenablog.com