入日くん

本を年間約200冊読む内向的人間のちょっとした発信。夜になる前の入日の時間をお楽しみください。

この小説が面白い!日常から離れたい人におすすめの本

お題「気分転換」

 

日常から離れるのは簡単にできます

非日常はあなたの頭の中にあります。

ストレスが溜まっていて気分転換をしたいけれど

上手くできない時、ありませんか?


外出してみたけれど、

気がついたら仕事の悩み、人間関係の悩みを考えてしまい、

「日常から離れるのって難しい」と、

感じることがあるかもしれません。

 

気分転換が上手く出来ない人の特徴として考えられるのは

悩みを頭の中で繰り返し考えてしまうということです。

 

頭の中にわだかまりが残ったままで外の刺激を変えても、

心が日常から離れられないのは当然です。

だとすれば解決するのは簡単です。

 

頭の中を非日常に塗り替えてしまえば良いのです。

 

読書はたくさん時間がないとできない

と思うかもしれませんが、安心してください。

 

頭を抱えてしまっている時間

寝る前の数十分

待ち合わせまでの空いた時間、等

 

ちょっとした隙間時間でも大丈夫です。

 

物語にすっと入っていけて、短い時間でも夢中になれる本を紹介します。

 

 

現実世界で非日常を味わう本

柴田よしき「新装版 紫のアリス」

出版社: 文藝春秋

ISBN: 9784167908096

発売日: 2017/4/7

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この小説が少し不気味な理由は、心が混乱するからだと思います。

奇妙な現実と妄想、幻覚が入り混じる不可思議なミステリーです。

 

舞台は私たちが生きているのと同じ普通の世界。

おとぎ話のアリスのように、不思議の国に迷い込むようなお話ではありません。

 

主人公の精神状態も含め全てが不安定なところに面白さがあります。

至る所に敷き詰められている罠には

主人公の精神と記憶が絡みついていて、

罠から逃げたくてもずるずると引きずり込まれていくのです。

 

まるで、自分が読んでいるこの本も幻覚なのではないかとすら思ってしまいます。

 

幻覚??いや、やっぱり幻覚じゃない。現実に起こっていることだ。

と思ったらやっぱり幻覚なのか・・・??

この奇妙にふわふわとする感覚は一体何だ!?

と完全に罠にはまり混乱状態に陥ります。

 

事実と記憶が脳の穴をするするとくぐり抜けていき

現実??妄想??と混乱する状況に陥った時、

 

物語は怒涛の展開を見せます。

 

この物語の奇妙さの中に広がっているのは残酷な人間の記憶、

その記憶に働きかける心理です。

人間の記憶は、現実に起こった事を留める機能ではない、

ということが上手く利用されています。

 

記憶の真実に迫る時、心は耐えられるのでしょうか。

ぜひあなたの心を試してみてください。

 

するりと別世界へ招き入れてくれる本

恒川光太郎「夜市」

 

出版社: 角川グループパブリッシング

ISBN: 9784043892013

発売日: 2008/5/24

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夜市は私たちが住んでいる世界と、

私たちが知らない世界を繋いでいるようです。

 

私たちが知らない世界はひとつではないようで、

様々な世界の住人が様々な目的で集まっています。

 

同級生の祐司に誘われて一緒に夜市にやってきたいずみは、

夜市の空間の異様さと祐司の様子に違和感を覚え始めます。

なぜ、祐司はいずみを連れて、夜市にやってきたのでしょうか?

 

どうやら祐司は、小さい頃に一度、夜市に迷い込んだことがあるらしい・・・

 

いずみが知らない夜市のルールを祐司は初めから知っていたようです。

とても大切なルールで、知っていたのなら普通は夜市には来ないでしょう。

少なくとも、説明をせずにいずみを連れていくようなことはしないはずです。

では、やはり最大の疑問が浮かんできます。

 

なぜ、祐司は、いずみを連れて、夜市にやってきたのでしょうか? 

 

夜市を楽しんでいただくにはこれ以上は語れません。

 

この本には、二つの物語が収録されています。

どちらも、私たちの日常から、

するりと別世界に紛れ込んでしまう

という点で共通しています。

 

あまりにもすんなりと奇妙な世界に迷い込んでしまうのです。

そのさらっと感が、読んでいる私たちの日常にさえも

奇妙さを混ぜてしまうなのだと思います。

 

ふとした拍子に、私たちも迷い込んでしまうかもしれません。

 

この世界には、どうやら様々な抜け道が存在しているようなので・・・

 

人間の狂気が笑いに変わる本


筒井康隆「おれに関する噂」

出版社: 新潮社

ISBN: 9784101171050

発売日: 1978/5/29

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全員が狂っています。

自分の私生活がニュースで流れていることを想像できますか?

それも、ニュースで流れているのは特に大事件ではなく、ごく普通の一日の出来事です。

幻覚か?誰かのいたずらか?と疑ってしまいそうなほど異常な事です。

 

お茶をする間にされる噂話のようなニュース

毎日毎日、放送されていくのです。

一般人の日常の何が面白いのでしょうか。

 

もちろん皆ニュースを見ているわけですから、

会社の人も見知らぬ人も、ニュースで流れた自分の生活の話をしています。

一般人である自分の平凡は失われてしまうのです。

 

狂気に溢れているのに、

周囲の人間はまるでそれが当然の事のように

淡々と生活を進めていくところが面白いです。

それは不気味さを増大させ、狂気を笑いに変えていきます。

 

この本には11編収録されています。

不思議なことに、どの話も読み進めるうちに、

私達が生活の中で感じているちょっとした違和感を思い出します。

普段は思いついたらすぐに頭の中から抜けていってしまうような

小さな違和感です。

 

人間が持つ違和感を膨らましたような物語なのです

 

短編なので短い時間でも物語に入り込むことができます。

狂気を感じ、ぞわっとしながらも笑ってしまう

そんな11編を楽しめます。

 

ただ、この狂気を日常生活に持ち越さないようにご注意ください。

 

夜の世界から帰って来られなくなる本

森見登美彦「夜行」

出版社: 小学館

ISBN: 9784093864565

発売日: 2016/10/25

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ある画家の作品の舞台となっている場所に、

夜に導く女性が登場します。

 

女性は、化けているのか、鏡のように映し出しているのか、

導く人物にそっくりな顔をしています。

 

その女性は夜の世界への案内人かもしれないし、

女性そのものが夜なのかもしれません。

 

そして彼らが導かれる世界には

夜特有の妖気を感じます。

 

まるで本を通して、夜が私たちを呼んでいるかのように感じ、

読みながらも夜に吸い込まれていきそうです。

 

夜の世界に導かれる人はそうやって招かれているのかもしれません。

消える人々がたどり着くのが夜だとすると、

私たちが住んでいる世界は朝の世界でしょうか。

 

私たちが見ている景色のすぐそこに

夜が広がっているように感じます。

 

人がすっといなくなるというのは、

ある一方の世界から見ると恐ろしいと感じる現象です。

でも、実は違う魅力を持つ世界が

すぐそこにあるだけなのかもしれません。

 

すべて憶測ですが、読む人それぞれに違う夜を感じさせてくれる物語です。

 

「世界はつねに夜なんだよ」と、誘う声が聞こえます。

 

夜の不思議な魅力のせいでしょうか、

なんとなく、夜の世界に行ってみたくなりました。