入日くん

本を年間約200冊読む内向的人間のちょっとした発信。夜になる前の入日の時間をお楽しみください。

宮部みゆき「火車」感想

宮部みゆき火車」 

出版社:新潮社

ISBN:9784101369181

発売日:1998/1/30

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一見理解し難い行動の裏に、一体どんな心の動きがあったのだろう

人間の心理を想像しながら謎を突き詰めていくところに

面白さがあるミステリー小説だと思いました。

 

心理描写が丁寧で、思わず感情移入してしまい、

その上ミステリーとしてとても面白いという、濃厚な一冊です。

 

どんなに慎重に計画しても、思考には精神が宿ってしまう。

その足跡を辿りながら、人物像をあぶり出します。

辿っていくのはひとりの女性の思考なのですが、

私はその女性の人生に引き込まれてしまいました。

 

誰にも頼れない、誰にも助けてもらえない、彼女が彼女である限りーー。

 

彼女は強過ぎたのかもしれない、と思い心がぎゅっと締め付けられました。

決して命を絶たず、逃げ続ける人生を選ばず、ひとりで闘い、新しい人生を手に入れることを選んだその強さがとても痛々しいのです。

 

犯罪を犯す彼女に対して、憎しみや恐れではなく、

哀れみや共感を感じました。