志真の記録

内向的人間のちょっとした発信。

カーテンは開けないけれど

僕はカーテンを開けない。 そのせいで、家で過ごす時は外の様子がまるで分からない。 いつもは落ち着くはずのカーテンの内側。 それがとてもこわくなったのがこの前の休日だ。 カーテンの内側で静かに本を読んでいると、急に気が付いた。 実は外ではとんでも…

味見はいらない

料理を作る時人は味見をする、それは必要なのだろうか。 味見をしたとして、私が理解できることは 「美味しいか美味しくないか」 それだけ。 美味しかった場合どうなるかというと 私の気分が良くなり にこにこ笑顔で食卓に料理が並べられる。 さて美味しくな…

春を教えるのはたんぽぽではない

朝、誰もいない教室。 一番最初に入ったのは、3年間の中で初めてだ。 窓際の席に座り、窓の外を眺めて中学生活を振り返る。 授業をサボった回数は数え切れないし、先生と喧嘩した回数も数え切れない。 こんな俺でも心がざわついてしまう卒業という言葉が、誰…

コーヒーのうしろに

今週のお題「大発見」 見つけるべきではなかったかもしれない。 貼り紙で募集するアルバイト、 昼でも薄暗い店内、 マスターの入れるこだわりのコーヒーは格別に美味しいのに、 それは何かしらのきっかけで店に入り、他の喫茶店と同じように、なんとなくコー…

脱落者 改訂

この仕事の好きなところは、手を水で洗い流す、それを何度もできるところだ。 手で水を受けている時は、その美しさに見惚れているだけでいい。 カウンターを挟んで真正面に座る三人組のひそひそと話している声も、 こんなに細く流れる水の音が掻き消してくれ…

僕だけじゃないんだろうけど

太陽が沈むと、こんなにも寒い。そのことに僕は安心していた。太陽は照らしすぎる。 本当は、こんなにも冷え切っていて、 痛くて、透明な空気を、 ジリジリと燃やし、熱く、息苦しくしてしまう。 先生は胸ポケットからライターを取り出して、 タバコに火をつ…

子どもの家

「可哀想だなって思った、色んな意味で」 「色んな意味で?」 少年は笑いながら聞き返してくる。 「本当に、子どもみたいな大人っているんだなって。ひと回り以上も年下の私にそう思われたことも、可哀想だよね」 「ふーん」と、少年は、ゴロゴロとした氷が…

臆病なのは

湊川は、チェストの上にある親指ほどの大きさの、ピンク色に塗られた塊を手に取った。 「例えば、これだよ」 うさぎのフィギュアだ。 「うさぎと私が、似ているということですか?」 湊川は私に、臆病だと言った。 うさぎの寂しがりやなところや、繊細なとこ…

真に受けた男

すでに彼女のことは見えていなかった。 頭の中にだけ存在している視界にも、彼女の姿はなかった。 あいつが話していたことが、気になって仕方がなかった。 それが隠語かどうかは、もうどうでもよかった。 頭の中で、クローゼットの隅に置いている、 何年前の…

伸びる影よりもこわいもの

夜になりきっていない、中途半端な時間だった。 近付いてくる。 片手にスマホを持ち、俯き加減で歩く女。 顔に髪が掛かっているが、ちらちらとこちらを見ては、 手元に視線を落としているのは分かった。 傾いた日が、黒くて細長い影を作り出している。それで…

なんとなく、って不思議

なんとなくを侮るべからず ざぁざぁと大雨が降る中、私は傘をさして、 仕事からの帰り道を、歩いていました。 たくさんの荷物を持っている上に、傘で片手が塞がれ、 不自由さを感じ、苛々としている上に、 足元は、跳ね返ってくる雨でびしょびしょに・・・。…

先のことまで考えすぎる。損な性格はもはや笑える。

必要なはずの先を読む力が、なんだか可笑しなことになっている 先の事を考えられるのって、良い事なんじゃないの?って思うんです。 例えば、自分が何かを判断することによって起こるかもしれない、 ありとあらゆる可能性を考え、 今できる最善の選択をする…

蓋を最後まで閉めない人間にも良い人はいるだろう〜今日のストレスは妄想の中に流れた〜

蓋の意味を知っているかい?? 私には一緒に住んでいる人がいます。 他人と一緒に住むと、些細な事でも、積み重なってしまい、ストレスになることがあります。 今日のストレスは 同居人が蓋を最後まで閉めないことです。 何の蓋でもです。 特に注意しないと…